【コラム】「ディズニーランドから学ぶべきもの」-3-

ディズニーテーマパークの明確なサービスコンセプト

ディズニーランド建設の切掛け

ウォルト・ディズニーは、娘が小さい時によく一緒に遊園地に行きました。その時の印象を次のように話しています。「遊園地は、ゴミがあちこちに落ちていて汚く、子供用のアトラクションしかなく、大人はベンチでピーナッツを食べながらじっと待つしかなく、スタッフは無愛想なところばかりでした。」
ウォルト・ディズニーがディズニーランドを造ろうと考えた切掛けになったのが、娘と一緒に行った遊園地であります。そこで考えイメージしたのが、いつもきれいで、子供も親も一緒に楽しめる、スタッフは愛想良く対応してくれる遊園地です。それは今ある遊園地のとは全く逆の遊園地です。それを現実のものにしたのが、ディズニーランドです。娘と一緒に行って遊園地で感じた不快な気持ちから、ビジネスニーズを見出して、今までにない遊園地を事業化したことになります。

「地球上で一番幸せな場所」というキャッチコピー

ディズニーランドを造るときに必要になったのが、既存の遊園地とは全く違うということを表す言葉です。ディズニーランドと言っても遊園地の延長線上にあるのですから、明らかに既存の遊園地とは違うということを、多くの人に伝えるためのキャッチコピーが必要であったので、「地球上で一番幸せな場所」という言葉をつくったと考えます。
ウォルト・ディズニーは、「地球上で一番幸せな場所」をつくるためにはキャストの対応が重要であることを知っていました。そのためにキャストを教育する専用研修施設をつくり、そこで時間を掛け、徹底して教育することを考えました。これが、TDRにもあるディズニー・ユニバーシティです。世界で最初の企業内研修施設とも言われています。
「地球上で一番幸せな場所をつくること」は、ウォルト・ディズニーがはじめたテーマパークビジネスのビジョンであり、ディズニーランドを「地球上で一番幸せな場所」にすることが目標であります。
この目標のためには、パークのすべての施設はゲストに日常とは違う感覚を与えるようなつりなっていて、そしてパークで働くキャストは日常とは違う感覚を与える施設と一体となったゲストサービスすることをサービスの重要な要素としています。

ディズニーテーマパークのサービスコンセプト

server-imgディズニーテーマパークのサービスを理解しやすいように、サービスのコンセプトをチャートにまとめてみました。「ゲストにハピネスを提供する」という言葉の「ハピネス」とは、「楽しかったまた来たいと思いような幸福感」(人は幸福を感じるところに来たくなるということが前提としてあります)を感じる体験をすることで、初めて来たゲストをリピーターとすることです。ゲストをハピネスにするサービスは、サービスの基本コンセプトである「SCSE」によってゲストに提供されます。ゲストへのサービス方法は、「セット」「プロセス」「キャスト」の一体サービスを提供することに可能となります。 「セット」はパークの中にはいろいろな個別のセットがあり、それぞれのセットにはストーリーがあり、そのストーリーをゲストに対してどうように伝えるかは「プロセス」により決まっています。そのセットのストーリーに沿ったコスチュームを着た「キャスト」がストーリーにあったゲスト対応をすることでサービスが完成します。各セットの中では、ゲストもセットの中ではストーリーの一部であるという体験をすることができます。

「SCSE」とはゲストサービスのフレームワーク

TDRだけではなく、世界中のディズニーテーマパークのサービスの基本になっているのは、「SCSE」です。
キャストが研修で最初に教えられるのは、「SCSE」という言葉です。日本には約2万8000人(2013年3月31日現在、社員2186名、パート社員25685名)、世界には10万人以上のディズニーテーマパークで働くキャストがいますが、全員がこの言葉とその意味を知っています。「SCSE」という考え方は、ゲストへのサービス提供の基本となっいて、パークはこれによって運営されています。
オリエンタルランド社のホームページに「パーク運営の4つの鍵「SCSE」-ディズニーテーマパークでは、Safety(安全)、Courtesy(礼儀正しさ)、Show(ショー)、Efficiency(効率)という4つの行動基準を設けています。この4つの鍵を、それぞれの頭文字をとって“SCSE”と呼んでおり、これらは優先順位の高い順に並んでいます。「SCSE」の優先順位を守り行動することによって、ゲストにハピネス(幸福感)を提供することができます。」とあります。

「SCSE」はフレームワーク

パークにあるすべてのアトラクション・レストラン・ショップの運営、キャストの行動の基準となっているのです。「SCSE」を単にキャスト行動基準と言うことも出来ますが、私はゲストに対するサービスのフレームワークと捉えています。
ロサンゼルス郊外アナハイムに最初のディズニーランドがオープンしたのが1955年です。その時には、ゲストに対するサービスのガイドラインはありました。それが、1962年にヴァン・フランス氏により現在のような「SCSE」として整理され、フレームワークとして完成して行きました。※もともとは、「SCSC」でありました。
フロリダのディズニーワールドや東京ディズニーランドをはじめ、1962年以降に建設されたすべてのディズニーテーマパークは、共通のフレームワーク「SCSE」で建設、運営されています。

「SCSE」はリピーターを増やすためのもの

今年の流行語に、「おもてなし」という言葉がありますが、この言葉は、皆さんはどう理解しますか。「おもてなし」の目的は何ですか。日本におけるサービスの基本コンセプトですか。単なるはやり言葉でしかありません。ディズニーテーマパークの「SCSE」は、ゲストサービスのフレームワークで、すべてのサービスは、これによって進められ、その意味をパート社員を含め理解させています。その結果、企業としてはリピーターが増やすことができ、売上と利益を確保できるのです。

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